昨日入庫したゼファー750。
エンジン分解前に色々チェック。
バッテリーをフルに充電してエンジン始動。
始動、、、始動、、、、掛かってくれない。。。。
またバッテリー充電。
キャブにはFCRが使われてまして、加速ポンプがチョークの代わり。
掛け損じるとプラグかぶらせてしまったりして始動しなくなる場合がありますが、コレは掛からなさすぎ。
何回か始動を試みるうちにようやく始動
調子はといいますと、なんとかアイドリングできてるって感じです。
スロットルから手を離すと回転が段々と落ちて行きエンジンは停まります。
エンジンが温まった状態でも再始動困難な場合も多々。。。
スロットル捻ったときのレスポンスも悪い。
排気ガスの匂いも少し変。
このシリーズのエンジンは排ガスの匂いはもっと良いはず。
キャブの調整が悪い場合や燃焼が悪い場合の排気ガスは『匂い』ではなく『臭い』
白煙は出てませんが、オイルも結構喰うそうな。
最初にエンジン始動させてしまったので温間時の圧縮でも計測してみましょうか。
温間時で5キロ切ってる気筒があります。。。
エンジン冷まして冷間時も測定。
あわわ、、、2キロ、、、、
これでは始動しにくくて当然。。。
正常なゼファーエンジンでしたらセルで回さずともクランク手回しでコレ以上の圧縮圧力が出ます。
各気筒の計測結果のメモ。
エンジンのオーバーホールに取り掛かります。
まずはキャブレターや点火コイルなど付いてると邪魔になるものを取り外し。
点火コイルの配線、今度取り付けるときに迷わないようテープでマーキング。

INマークがちょっと下向き気味。
カムチェーンちょっと伸びてるっぽい。
まだ正確に測ってないけどw
カム外したりする前にバルブクリアランス測定。
結果はご覧のとおり。
使用した隙間ゲージ、一番薄いものは0.04mm厚なのですが、それが隙間に入らないところが5箇所。
圧縮が出ないわけです。
バルブフェイスの極端な磨耗してることも考えられますので、ヘッドからバルブを外した際はよくよく観察しないといけません。
カムを外してタペットキャップを区分けして保管。
ワイセコピストンキットの箱が毎度大活躍。
ヘッド外すとき、ヘッドナット緩める前にカムチェーントンネルのところの2箇所のボルトを外します。
その次ヘッドナットを解きます。
ヘッドを外したとき、1番と4番。2番と3番ピストンそれぞれを上死点に。
きっちり同じ位置にピストンの頭がくるかを確認。
ピストン位置が同じでない場合(1/4番 2/3番)コンロッドが曲がってる等、重大な故障を抱えているかもしれません。
今回は全部一時審査合格。
シリンダーも外れました。
シリンダー内壁。
ピストンリングと擦れるところのクロスハッチは見事に消え去ってます
ピストンリングも交換時期ですね。
オイル掻き落としリング(セカンドリング)も使い切ってるカンジです。

今日は台風の影響でかなりの悪天候。
ゆっくりゼファー750エンジンに取り掛かれました。
昨日の続き。
まずはピストン外しから。
ピストンピンサークリップを外して、、、
ピストンピン抜き。
固いときは素直にピストンピンプーラを使います。

外したピストンピンサークリップ。
もしも新品サークリップとごちゃ混ぜになってしまって(そんなことはまずあり得ませんが。)間違って組み込むと大変。
一目で外した廃棄部品とわかるよう、わざと曲げて破壊しておきます。
エンジン降りました。
オイルパン外してプライマリーチェーンまわりの点検。
プライマリーギヤのところのダンパー、内部のダンパが硬化しているのでしょう。ガタが出てます。
ちなみに新品ダンパは手で組み込むことが困難なくらいきつくガタなんかありません。
クランクケース上下を分割するためにボルトを外していってます。
このケースロワ側から締めこまれてる6mmボルト、水が入るところがあってサビが発生しやすい。
今回もここは時間かけて外しました。
ボルト折れはありませんでした。
外したボルト(6mm)。
こんな状態です。
オーバーホール時に折ってしまった方も多いのではないでしょうか?
クランクが曲がってないか計測。
全然大丈夫っぽい。
しっかり許容範囲内。

コンロッドも外したのでメタルの状態確認。
あんまり良い状態ではないですね。。。
しかしゼファー750初期の頃のエンジン、コンロッドメタルは穴あきタイプ使ってるんですね。
前にやったゼファー750(教習車)は穴なしメタルでしたが。
ゼファーコンロッドには給油穴開きタイプのメタルでなくて良いので今回はそのタイプに交換します。
※ちなみにZ750GPとかGPz750等はコンロッドに給油穴が開いてるのでこのタイプのメタルが使われています。
しかしもうこの部品は部品統一により全て穴なしタイプになってます。
ですのでそれらのタイプの方も穴なしタイプ使ってください。
大丈夫ですから。
コンロッドメタル、全部交換ですね。
コンロッドボルトなんかもこの機会に交換です。
シリンダーヘッドの方も今日分解しました。
バルブシートですが、通常のアタリ位置(45度のところ)以外のところも光ってます。(30度、60度の一部)
ということはバルブフェイスが、、、、
見事に減ってしまってます。(光の漏れるところが減った部分)
45度の面が減って周囲の他の面にもアタリ痕をつけてしまっていたようで。
シリンダーベースガスケットがシリンダーが入るところの穴に折れ込んでます。
オイル漏れを外部から補修したところがありましたが、多分原因はコレでしょう。
ガスケットに亀裂も入ってました。
ケースのオイルラインの洗浄。
ゴムのボールで塞がれてるところも外して、、、
パーツクリーナーと高圧エアー通してしっかり洗浄。
そしてココ、
クランクシャフトの下の大きなオイルライン。
細長いブラシ(通称モーラ)を使いしっかり洗浄。
ココは毎度すごい汚れです。
結構ゴミが出てきます。
このような状態ですからメタルに傷が付いてしまうのもある意味当然か、、、
クランクケース、大まかな洗浄完了。
結構カラッとしてきました。
しかし雌ネジの掃除とか確認なんかもまだまだ残っています。
修行系作業はまだまだ続くのだw
そうこうしてるときにAPE50のお客様が。
どこかで中古で買ったAPE、全然エンジンがかからないとのこと。
キャブも何か他機種のもの(?)が付いてたり、シリンダーとヘッドの間に金属パテがごっぽり盛られてたりと、外観からして怪しい。。。
とりあえずキックしてみると、えらく軽い。
指一本でキックできるくらいとでも言えば良いのでしょうか、
それくらいで表現できるくらいキックが軽く下ります。
圧縮圧力計をセットし、スロットル全開にしてキック。
なんとほとんど圧縮なしwww
コレではエンジンかからんw
とりあえず販売店と相談してみるとのことでコレは終わり。
まだ10km程度しか走行してないそうで。
うまく話し合いがまとまる事を祈ります。
今日は主に主要パーツの点検などを
バルブステムの計測。
交換しますが一応見ておきました。
タペットキャップ点検。
周囲の膨らみみたいなのは無いのですが、カムとの接触面がちょっと怪しいものがチラホラ。
ココが磨耗してくると正確なバルブクリアランスがとれなくなったりします。
場合によっては掘れてしまい、タペットキャップが正常に回転しなくなる場合があります。
いくらバルブクリアランス調整(シム調整)してもヘッドからの異音がすごいというような場合はココも疑わなければいけません。
今回カムシャフトを交換する予定ですので新品にしておいた方が無難です。
そして楽しいクランク洗浄。
結構ゴミが取れました。
でもコレは平均的なものです。
過去に行った洗浄時では丸まった金属の切り粉の小さいのが出てきたことがあります。
クランクピンやジャーナル、全て合格♪
2番クランクピンあたりからプライマリーギヤにかけての傷も無し。
※妙な傷があったりするとクラックかもしれません。 もし発見したらそのクランクはNGです。
折れることがあります。
1速ギヤの真ん中のブッシュ、減ってガタが出てます。
クリアランスというものが設定してあるので少しのガタはあるものなのですが、コレはちょっと大きい。
距離走ってる(およそ8万キロ)からある程度は仕方ないか。。。
アウトプットシャフト側の3速ギヤ。
隣の5速ギヤと噛み合うところの角が落ちてきてます。
アウトプットシャフトのスプロケット横のカラー、
オイルシールとの接触部が磨耗。
横のベアリングは交換しますので、そのとき一緒にカラーも交換。
オイルポンプ、磨耗等を見えるところから観察。
ポンプローター外側に傷等は確認できません。
※サンドブラスト後の洗浄不良等により逝ったエンジンなんかの場合はココがガリガリに傷ついたりします。
シフトフォークの点検。
全て合格。
ロッドにちょっとサビの痕跡がありますが、この程度は研磨で全然OKでしょう。
今日は点検とか計測ばっかりでしたw
薬品で燃焼室にたくさん蓄積されたカーボンは大体落ちました。
今度はポートの掃除。
大量のカーボンが取れました。